企業と雇用者の関係を穏便にする就業規則について

曖昧な内容がもたらした結果

労働基準監督署が注目するのは

この時ふと疑問に思うのは労働基準監督署がどうして社員の発言を全面的に認め、企業に対して是正するよう勧告するまでに至ってしまうのかという点だ。会社側にすれば悪質な社員のせいで業務は停滞し、ほぼ給料泥棒と言われても仕方がないような人間によってもたらされた悪害の全てが容認される扱いに納得出来るわけない。筆者が経営者側として考えた場合でも間違いなくそう思うだろう。業務上問題があったから残業代を支払う権利はなかったと、ありのままの事実に呈して会社側は主張するもそれを証明するための証拠が存在しなければ説得力はない、無論労働基準監督署も労働者の発言全てが正しいとは思っていないだろうが、この時双方の主張はともかくとして一番に重要視されるものこそ、就業規則になるわけだ。

このような顛末になった場合においてひな形とも言える内容の就業規則を利用していた場合には、もはや企業はどうすることも出来ない。労働基準監督署も就業規則に基いて判断し、そこに労働者としてしかるべき権利が、訴えた側が『所持している』と断言出来るだけの記載がされていたら、不当なのは会社側となってします。結果、ろくに訂正もしないでそのまま使用していた就業規則を使用していたがために、会社は全面的に負けを認めなければならないのです。そのような被害にあってしまい、倒産という末路へと下ってしまった企業も存在していたりするのです。

就業規則とはなにか

こうしてみると就業規則も何だかんだで奥深いものだ。労働者として受けて当然の権利が明記されていなければならないが、内容次第では企業側は自分の首を絞めかねない。そうなりたくないからといって就業規則を制作していないと、今度は労基法が壁となるためどのみち企業としての立場では労働者を切り捨てにすることはできないのです。

ですが就業規則という武器が全く機能していないがために、労働者が徹底的に使い尽くされてしまう現実を考えるとまた不思議な話だ。世の中に蔓延しているブラックバイトないし、ブラック企業へと勤めたがために身体並びに精神へとてつもないダメージを被ってしまった人も実際多い。情報社会となっている現代で考えれば、そのような事にならないだろうと思いたくなるが、実際働いてみると出てくるのは知識としてきちんと活用できていない人が多いということ、また辞めても次の職場が見つかる保障がないという不安が重なってくる。

人間、金銭的な需給がなければ生活していくことは出来ない、社会人は例外なくそうだが学生アルバイトも該当する。かつて学生アルバイトは学業の暇を見つけて社会勉強をする場として活用されていたが、今では生活費を稼がなければならない場とシフトしている。それだけ経済的に余裕のない人が増えている点が顕著になり、学生たちはどんなに酷使されても辞められない状況となってしまうのです。こうなるともはや就業規則云々の話ではない、逃げられなくなるように脅しをかけたり、社会人経験の足りない学生に責任という影をちらつかせればおとなしく黙らせる。どのみち悪質なことに変わりはないが、ここまで来るともはや就業規則なるものは意味を成していないといえる。

本来なら労働者と企業の適切な関係改善を目指して作られているはずの就業規則も、現代の経済状況と比べた場合にはその意義を成さなくなりつつあるのかもしれない。

それでも知っておきたい

確かに今は就活もうまくいかない世の中だが、バイトを見つけるだけでも難しい時代となっている。アルバイトの条件など関係なくなんでもいいから仕事ができればというスタンスであれば、どこでも見つけられる、というわけではない。自分の都合を介さない人ほど、こうしたブラックバイトなどに陥りやすくなっているのかもしれない。明日の生活が支えられて、働けるのなら何でも良いというのは殊勝な心がけのように見えるかもしれない、しかし蓋を開ければ一度採用すればドツボにはまって長期間の労働を強いられる環境に落とされてしまうかもしれない。

人手がいなければ使いまわし続ければいい、回転率を優先する飲食店などの企業にすれば時間に関係のないフリーターになればなるほど逃げ場を無くせるような状況に陥れようとする。ここからがまた巧妙だ、そのような明らかにおかしいシフトを組まされていれば嫌でも気づく。そうなった際に辞めたいと発言したり、休みがほしいと告げたりすると、当然受け入れられないという答えは返ってくる。また人によっては自分が抜けることで人に迷惑をかけてしまうといった、自責の念が出てくることもあるという。

そういう人たちほど、自分たちの職場に存在している就業規則を確認し、それが法的な理屈で違法と判断できるのではないかと思った場合には、迷わず相談をするべきだろう。就業規則が存在しない職場だったら、最悪逃げることも想定して行動するべきだ。就業規則というものが持つ意味はそれだけ大きいということを理解しておきたい。